特集は、地域に根差すスーパーマーケットです。取材したのは手作りの総菜・弁当が人気の、長野県中野市にあるスーパー。物価高の中、できる限り安くとさまざまな工夫をしています。


■スーパーの厨房は大忙し

次々と揚がるエビや野菜の天ぷら。中華鍋で炒めるチャーハン。午前中の厨房は大忙しです。

こちらは中野市のスーパーマーケット「新鮮屋オタギリ」。

■店頭には作りたてが

作られた総菜や弁当は店頭にすぐに並べられます。

客:
「忙しいときにご飯の支度が時間取れないときは、よく利用して総菜買いに来ている」


■精肉店から半世紀以上の歴史が

開業して30年余りですが、ルーツは先代の社長が戦後に始めた肉牛の牧場。

その後、1972年に精肉店も始め、徐々に品数を増やしていき1990年、スーパーになりました。

精肉店時代を含めれば半世紀以上の歴史があります。


元精肉店ということで肉の種類は豊富。

「テッポウ」「センマイ」「カクマク」といった珍しい部位の肉も扱っています。

新鮮屋オタギリ・小田切洋司専務:
「(牧場で)肥育した牛肉を販売しているのは大きなこだわりの一つ。それ以外では、地元の主婦が手作りした総菜はこだわってやらさせてもらっている」


■昔ながらの味

店のイチオシは総菜と弁当。パートで働く60代から70代の地元の女性たちが手作りしています。

総菜ではコロッケや煮物が人気です。

パート従業員:
「あんまり味を濃くしないで、体に優しい、そんな感じで作っている」

中野市から:
「(煮物は)甘じょっぱさがいいですね。昔ながらの味、おばあちゃんたちが作ってくれた味」


■人気のソースカツ丼

弁当で人気なのはトンカツを、ニンニクやショウガが入った自社製ソースにくぐらせて作る「ソースカツ丼」。

肉は新潟県産のロースです。


(記者リポート)
「一切れが大きいですね。いただきます。肉厚なお肉にたれがしっかり染み込んでいます。これはご飯が進みます」


■水曜と木曜は特売も

冒頭で紹介した「チャーハン」や「エビ天丼」などの売れ筋は毎週水曜と木曜、50円から100円ほど値下げして販売しています。

エビ天丼を購入:
「自分の家で揚げてやるなら、エビを買っただけでも300円、400円。そう思えば安い」


実はチャーハンやカレーライスは3年前までは、なんと「100円均一」で販売。客に人気でした。

しかしー。

新鮮屋オタギリ・小田切洋司専務:
「油だったりとか調味料関係というのが、ここ数年で本当に値段が上がってきていて、100円お弁当は、原価的に厳しいということで、泣く泣く今はやっていない」

■物価高と戦う

物価高と戦っているのは消費者だけでなく店も。週2回の弁当の特売は安さを「売り」にしてきた店のこだわりです。

新鮮屋オタギリ・小田切洋司専務:
「値段を上げるのは本当に簡単なことで、誰でもできてしまうが、お客さまの家計の事情だったりというのも同じように物価が上がっているので、(値上げは)やっぱり一番最後にしようという思いで」


■仕入れは社長の目利きで

飯山中央市場で始まった山菜の競り。

そこに新鮮屋オタギリの小田切裕治社長の姿がありました。

新鮮屋オタギリ・小田切裕治社長:
「主に山菜とか春のものとかスポット商品とかお買い得品みたいなものを買いに」


商品や食材を安く仕入れるのは店の大原則。

グループの牧場から仕入れる牛肉などは安くなりますが一部の野菜などはこうして、社長が市場に出かけて直接、仕入れています。

この日、仕入れたのはタラノメ、コゴミ、ウドなど、旬の山菜。

経営は徐々に息子の洋司専務に任せつつありますが、仕入れは、目利きの社長の出番です。

新鮮屋オタギリ・小田切裕治社長:
「季節のものだし、季節を感じてもらって量が増えると割とお買い得に」


■人気の「量り売り」も

4月21日―。

にぎわう日曜の店内。土日は好評のイベントが行われます。

(記者リポート)
「こちらのコーナーで販売されているのは、量り売りの総菜です。ずらりと並んでどれを選ぼうか迷ってしまいますね」


並べられた総菜はから揚げや大学芋など、およそ40種類。一部を除き100g・159円で販売されています。

野沢温泉村から:
「均一価格なので、値段もそこまで気にせずに買えるというのもいい」
「でも買いすぎちゃうね、欲しくなっちゃって」

中野市内から:
「2人で相談しながらお互い食べたいのを詰めることができるから便利。他のスーパーよりお得かな、いろんなものを詰めることができて」


■「1円でも安く」 

量り売りは、店にとってはパック詰めや包装のコストが抑えられるメリットがあります。

一方、客は、好みの総菜を無駄なく購入できます。

さらにいつもと違った気分で買い物ができるのも好評の理由のようです。

新鮮屋オタギリ・小田切洋司専務:
「1円でも安く、お客さんにより一品でも多く食べ物を買っていただけるというのを考え、そこがある意味、値段にこだわる理由の大きな一つですね」

地域住民の暮らしを支えるスーパー。

さまざまな工夫で物価高に挑んでいます。